発達性ディスレクシアの児童のためのタイピングアプリを用いた支援方法の検討

発達障害の一つである発達性ディスレクシア(DD)は,知的な遅れや視聴覚障がいが無いにも関わらず読字・書字能力を獲得することに困難さがある.このような児童が定型発達児と同様に教科学習を行うための研究の一環として,当研究室ではDDの特性のためにタイピング練習に困難さを覚える児童のために,キーボードのキートップのアルファベットを色に置き換え,ローマ字を意識せずにタイピングの練習をできるタッチタイピング練習支援アプリを開発した.

上述のタイピングアプリを用いたタイピング練習を行った児童の中にお題表示に視線を向けずにタイピングしている児童が存在する.このような児童はお題とキーを結びつけて覚えることができていないことが予想できる.本研究では,このような児童のお題注視割合を向上させることを目的とし,「グラデーション表示」を追加した.グラデーション表示ではキーボードのみ遅れて表示することで一度お題に視線を向けたのちにキーボードイラストに視線を向けるよう視線誘導を行う.キーボードイラスト表示あり,なし条件にグラデーション表示条件を加えた3条件下で視線計測実験を行い,お題注視割合を比較した.

Fig. 1:グラデーション表示

グラデーション表示を用いた際にキーボードイラスト表示あり条件と比較して有意にお題注視割合が高いという結果を得ることができた.また,キーボードイラスト表示あり条件ではお題を全く見ずにキーボードイラストのみを見てタイピングしていたが,グラデーションを用いるとお題のみを見てタイピングする児童も確認できた.このことから,グラデーション表示を用いることでタイピング時の視線誘導が可能であると考えられる.

また,タイピング練習中の児童でキーボードイラストのみを見てタイピングしていた児童もグラデーション表示ではお題を見てからキーボードイラストを見ていたことから,グラデーション表示を用いて練習を行うことでタイピング練習時の視線の流れを身につけることができると考えられる.

今後の展望として,DDでない児童の人数が少なかったことから人数を増やして実験を行うことでより精度の高い比較を行うことや,WAVES検査などのスクリーニング検査を行い,特徴を調査することなどが考えられる.

Publication

  1. 発達性ディスレクシアの児童のためのタイピングアプリを用いた支援、反町真熙、高橋泰岳、平谷美智夫、築地原里樹、第 24 回発達性ディスレクシア研究会福井大会、2025.10.12-13