バスケットボールのドライブ動作では,クロスステップにおける「1歩目の踏み込み」「タイミング」「低い姿勢」等が重要ですが,初心者にとってこれらを同時に習得するのは難しです.そのため,各要素を分けて理解する必要があります.
本研究では,注意の焦点を胴体姿勢に焦点を当てる内的焦点,踏み込み位置に焦点を当てる外的焦点に分け,VR機器を用いて直感的なフィードバックを提示する焦点別訓練を実施しました.加えて,訓練者の習熟度に応じて内的・外的焦点の訓練を切り替えることで,ドライブ動作の改善を検証しました.


VR空間においてバスケットボールのドライブ動作の訓練を行うため, 本研究では自身の胴体姿勢を意識した内的焦点の訓練と相手のディフェンスを意識した外的焦点の訓練を実装しました.
内・外的焦点それぞれの訓練に共通するVR環境における基本情報として,①バスケットボールの表示,②仮想ディフェンスの表示,③左腕の表示,の3つのフィードバックを構築しました.
外的焦点を意識した訓練では,相手のディフェンスの位置を見て適切な踏み込み位置やタイミングを判断できるように指導するため,④踏み込み位置とタイミングの指導,⑤踏み込み位置と左足の軌跡の表示,⑥俯瞰映像の表示のフィードバックを実装しました(Fig. 1).
また,内的焦点を意識した訓練では,ボールをかまえた時と1歩目を踏み込んだ時の自身の姿勢を理解できるように指導するため,⑦熟練者の姿勢マネキンと訓練者の胴体姿勢,⑧胴体姿勢指導テキスト表示のフィードバックを実装しました(Fig. 2).





バスケットボール初心者6名を対象に,外的焦点(踏み込み位置)と内的焦点(胴体姿勢)の2種類のVR訓練を実施し,訓練前後で現実空間におけるドライブ動作(姿勢や踏み込み位置など)を比較しました.結果は両訓練とも動作の安定性や姿勢の改善が確認されましたが,胴体姿勢や腰の安定性は内的焦点が(Fig. 3,Fig. 4,Fig. 5),踏み込み位置やディフェンスとの距離・角度は外的焦点がより大きく改善する傾向が示されました(Fig. 6,Fig. 7).
今後は被験者を増やして実験を行い,各訓練ごとの改善効果の特徴を分析し,長期的な訓練に取り入れていくことや,ユーザの習得が不十分なスキルに応じたトレーニングメニューを作成することが考えられます.
Publication
- 内・外的焦点に着目したバスケットボールの VR 対人ドライブ動作改善システムの開発, 池田 拓真,築地原 里樹,高橋 泰岳, 第25回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 (SI2025), pp. 3994-3999, 2025. 12.12.
