人型ロボットを用いたカードゲームシステム

近年では,介護現場での人手不足の対策,療育現場での療育士の負担の軽減を目的としてケアロボットやコミュニケーションロボットの導入が進んでいます.介護や療育現場でのレクリエーションの一例としてカードゲームをロボットに行わせることを目的とし,一部自律化したカードゲームシステムを開発しました.

ゲームでは,4種類のマークが描かれたカードを使用し,参加者と神経衰弱を行います (Figure 1).参加者にも同じ組み合わせのカードが配られ,参加者とロボットがカードを選択し,マークを合わせることを目的としたゲームです.

Figure 1:使用したロボットとカード

ゲームの進行は,あらかじめ決められたスクリプトに従い,ロボットが行います.ロボットは4種類のカードからランダムに1枚選択し,持ち上げる動作を行うようにプログラムしています (Figure 2).

Figure 2:カードの持ち上げ動作

ロボット介入の影響を調べるために,場面緘黙症の生徒を対象にインタラクション実験を行いました.
参加者にはロボットに手助けをするなどの協調性のある行動が見られました (Figure 3).また,参加者の視線方向の計測を行い,ロボットとのレクリエーションをより積極的に行なっている可能性が示唆されました.

Figure 3:インタラクション実験の様子

今後の展望として認知症高齢者のQOL向上へ評価,療育現場でのソーシャルスキルトレーニングとしての利用を検証し,有効性を示すことなどが挙げられます.また,本システムの完全自律化を目指しています.

Publication

1.栃尾祐輝,高橋泰岳,築地原里樹,
“レクリエーションのための人型ロボットを用いたカードゲームシステムの開発”,日本知能情報ファジィ学会 合同シンポジウム2020 第29回北信越支部シンポジウム&第28回人間共生システム研究会,pp.5-6,2020.